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「新しい建築の楽しさ」展

会場構成と什器のデザイン

担当:青木弘司、角川雄太
主催:AGC studio
会期:2012.6.5ー8.11
構造設計:RGB STRUCTURE
施工:イノウエインダズトリィズ
写真撮影:山岸剛


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建築の楽しさ - 縮尺について -
「新しい建築の楽しさ」というテーマに対して、建築に特有の縮尺表現によって応えたいと考えた。建築の模型は、各部の寸法が目的に応じて設定された一定の縮尺によって、縮小されて表現されている。一般的に、縮尺の小さな模型は、俯瞰する視点を前提とし、建物の配置計画やランドスケープの全体像を把握するために採用されている。その一方で、縮尺の大きな模型はアイレベルから覗き込むことで、内部空間を追体験させるような意図が込められている場合が多い。 この展示計画では、さまざまな縮尺の模型がそれぞれショーケースに収められ、全体として山のようなかたちがつくられている。 鑑賞者が、山の裾から頂まで視線をダイナミックに移動させながら、模型を見下ろし、覗き込み、眺めながら、自分の身体を建築家が構想する空間にさまざまなかたちで重ね合わせることで、建築の楽しさを感じ取って欲しいと思っている。 また、さまざまな縮尺の模型を内包した、この地形のようなショーケース群は、同時に、あるセカンドハウスの1/5サイズの模型としても計画されている。出展者の要望に応えながら、ひとつの建築の姿をスタディするように全体像が整えられている。 ショーケースの山の頂に展示された、この什器全体の1/10サイズの模型は、展示計画の背後に潜む建築の設計行為によって 実装された全体性を暗示している。建築の縮尺とは、簡単には再現できない建築そのもの自体の不自由さの現れなのではなく、 むしろ、未だ見ぬ空間に対する想像力をさまざまに喚起させるような、拡張された概念なのだと思う。

素材
会場のAGC studioは、旭硝子株式会社のショールームであり、スチールやアルミ製の枠やガラス板が、間仕切り壁やサンプル材として、あるいはAGC studioが入居するビル自体のサッシュとして、室内外にわたってさまざまなかたちで使用されているので、 スチールの角パイプでフレームを製作し、床に板ガラスを張った今回の模型のショーケースは、会場の風景とも相性が良いと考えた。スチールの角パイプは13 mm ×13 mmの角出し材を用いた。3本の角パイプが交わるコーナーの部分は、特に溶接跡を 丁寧に削り、余計なものが一切出ないように気を付けながら、白く焼付塗装を施した。また、フレーム毎に4 カ所必要な塗装のための水抜き穴も、アイレベルより低く設置するケースは下方のフレームの下端に、アイレベルより高く設置するケースは 逆にフレームの上端に設けるというように、位置と径を厳密に指定している。

構造
さまざまな大きさのショーケースをランダムに積み重ねるという今回の計画に対しては、意匠的なスタディと同様に、構造の検討を行う際にも、模型によるスタディが有効である。空間的な事柄を検証しつつ、同時に構造的な妥当性を確認しながら検 討を進めた。また、水平力に対しては、細いワイヤーで簡易に結束するだけで成立させている。